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紙/端/国体劇場(青/春/鉄/道)様の二次創作ブログ。 初めていらした方はまず「このブログについて」をごらんください。
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山陽さんとつばめ様の本を出す、という夢を見ました(笑)。
しかもイベント会場が中学の時の学校の理科室(爆)
こんなとこでイベント開いて、で、しかも何故山陽九州(なのか、九州山陽なのか、それとも山陽+九州なのか、表紙しか見てないので不明ですが)なのか、でもなんかこれまでの発行部数を上回って印刷する賭けに出てたらしいよ、自分。

いや、わたし実はけっこうつばめ様も好きですけど(山陽と接近してる九州にこっそりヤキモチを妬く東海道も好き・笑)流石に山陽さんとつばめ様の本を出すとは思えません。
一体何の暗示だったんだろう……(苦笑)。

そんなアホな夢はさておき。
出す出す言って、ぜんぜん出してなかったSSをUPしました。うつたかです。
書いたのは2月半ばです、めちゃくちゃ寒かった時期です。だから寒い話。そしたら先週なんて東京21度とかいってありえねぇ気温だし、気分的にちょっとタイミングずれたかなぁと思ってたり。
そしたら今週また寒いらしいです、ならまあいいかとUPする気になりました。
それにしたって21度から6度って、何なのその寒暖の差の激しさ。

そういえばこんなタイトル、昔レボの歌にありましたなぁ。よくカラオケで歌ってた。
歌のワンフレーズがその当時ハマってたキャラの口癖とかぶってたんだ(笑)
関係ないけど、「うつのみやたかし」ってちょっとおいしい名前だなと気付いた今日この頃(爆)<レボ繋がり



 ホームの外に、雪がしんしんと降り続く。
 白い息を冷たくなった指に吐きかけ、やがてホームに入って来る己の電車を待ちながら、宇都宮は真っ白な空をぼんやり見つめていた。
 現在の気温は0℃。外気は寒い、というより触れた箇所が凍り付くように痛い。軽い粉雪は風に乗ってふわふわと舞い、素の肌に当たるとじわじわ体温を奪った。指先も頬もすっかり冷え切って、痛々しい赤みがさしている。
 今年は暖冬だなんて誰が言ったのか、年間でも降雪が滅多にない東京でさえもう今年に入って片手では足りないくらいに雪が降っている。鉄道運行を預かる身としてはと積雪がないことだけが救いだ。
 流石にこの寒さでは勤務中のコート着用は認められているが、手袋はない。おかげで指先が痺れて感覚がない。コートのポケットにはカイロが入っているが、少し触っていたくらいでは焼け石に水で、逆に熱を奪われていく感覚を何度も味わう羽目になる。
 こんな時、制服に手袋着用の職業は羨ましいと思う。たとえ薄い布1枚でも外気を遮るものがあるとないとでは大違いだ。これが東北地方だと条件が変わり手袋の着用が認められるので、関東は理不尽だと思う瞬間でもあった。同じ東日本なのにこの扱いの差は酷い。いっそ東北に避難しようかと、逃げ道のある本名東北本線としてはぼんやりと考えなくもない。
 ここからさらに北上する自分の路線はまだ来ない。雪で遅延の連絡が入っているので、予定より5分は後になりそうだった。これでもまだマシな方で、本当に首都圏の路線は降雪に弱い、ちょっと降りがひどくなるとすぐダイヤが乱れるのは困りものである。
 と、ホームに電車到着のアナウンスが入り、自分が待つのとは反対側に電車が入ってくる。宇都宮線と同じオレンジに緑のラインの、高崎線上り列車だった。
 電車が停止し、扉が開く。するとちょうど宇都宮が立っていたその真横の扉のところに、偶然にも見慣れたオレンジの制服が乗っていた。
「あ」
「お」
 相手も同じ色に目が止まったのだろう。制服の主、そしてその路線の主でもある高崎は視線が重なると小さな笑みを浮かべ降車する乗客の一番最後についてホームに降りてきた。
 暖房が効いた車内と外気の寒暖差に身震いすると、白い息を吐いて宇都宮に歩み寄ってくる。
「今日はまた一段とさみーなーっ」
「今日は最高気温でも1度にしかならないらしいよ。宇都宮の話だけど」
「陽が出てないかんなぁ…どうせ雪なら、がんがんに積もって運転見合わせになればいいのに」
「それ路線としてはあるまじき発言だよね」
「まあな」
 冗談だよ、と肩を竦めた高崎は、ふと宇都宮の顔を見つめくすりと小さく白い息を吐いた。
「お前、鼻の頭赤くなってる」
 いつからここで待ってたんだよ、と高崎はポケットに突っ込まれていた手を出して、宇都宮の顔に伸ばした。指先で鼻柱をさすられると、ほんのりと温かみを感じる。高崎の手は宇都宮のそのまま頬に回り、冷え切った肌をほんわり包み込まれた。
 元から体温高めで、しかも電車から降りてきたばかりの高崎の掌が凍り付いた肌をじんわり融かしていく。
「少し遅れが出てるからね…もうじき来るとは思うんだけど」
「お前寒がりなんだから、上で待ってりゃいいのに」
「そうなんだけど、みんな考えることは同じみたいでね。上は混んでるから」
 吹き曝しのホームで雪にまみれ凍えながら電車を待つくらいなら、せめて風のないところで待っていようと思うのは誰しも考えることで、コンコースは電車待ちの客が所在なさげにうろうろしていた。少しだが遅延していることもあって、JRの社章をつけている自分が呑気に電車を待っていると文句を言われかねないので(天候だけはどうにもならないので理不尽だとは思うが)、それを避ける意味でもあえて風雪にさらされる方を選んだ。
 高崎の手に覆われた頬の温もりが心地よくて、宇都宮はまぶたを閉じるとその上に己の手を重ねた。
 手の甲から伝わる、顔同様に冷たい宇都宮の手に高崎が顔を顰める。
「お前、手も氷みたいだぜ。ホッカイロ、持ってねえの?」
「持ってるけど離すとすぐ冷えちゃうんだよね」
「効率悪いなぁ」
 どちらかといえば冷え症とは無縁で、真冬でも手足が温かい高崎は宇都宮の頬から手を離すと、今度は重なっていた手を取って両手の中に収めた。時折さすっているのはもしかしなくても、温めてくれているらしい。
 体温なんてカイロに比べたら温度が低いはずなのに、じん、と指先が疼く。
「―――なら高崎があっためてくれる?」
「……は?」
「寒いのは手だけじゃないから。身体の芯まで冷えてるんだ、だから高崎の熱を分けて」
 宇都宮はにっこりと微笑み自分の手を包み込んでいた高崎の手を逆に掴み直すと、胸元に引き寄せた。引っ張られて高崎の身体が自分の方へと傾いてくるのを、両腕を開いて抱き留める。
「バ…カ、お前昼間っから何考えて…!」
 駅のホームでいきなり抱きしめられる形になった高崎は、頬に赤みが挿すとじたばたともがき出す。しかし宇都宮はがっちりと高崎の腰を抱え込み、コートの襟に隠れた項に口付けた。
 ひやりとした唇の感触に、思わず「ひゃっ」と高崎が首を縮める。
「こら離せ、あ…あったまりたいなら、ホットコーヒーでも買って来いよっ」
「やだ。高崎のがいい」
「何わがまま言ってんだよ、こんなとこで」
「寒いと人肌が恋しくなるんだよ」
 ねぇ?とまた冷えてきた頬を首筋に擦りつけてやると、高崎は「つめてぇ!」と首を振った。
 ホームにアナウンスが流れる。ようやく遅れていた宇都宮線が到着するらしい。アナウンスを聞いてコンコースで待っていた客達がようやくホームへと移動を開始した。
 人の足音が階段を降りてくるのに、ぎょっとして高崎はもう一度宇都宮の腕から逃れようと身を捩る。だが同じくらいの体格のはずなのに、宇都宮の腕を振り解くことはできなかった。
「ちょ、もう離せって、お客に変な目で見られるだろ…!」
「高崎が僕と一緒に宇都宮に来てくれるなら離してもいいよ」
「何で俺がそっちまで行かなきゃなんないんだよ」
「もちろん熱を分けてもらうためにだよ。いや違うな、一緒に熱くなるために、かな」
「お前な…、今は勤務中だろうが!」
「僕は宇都宮に戻ったら昼食だから。デザートに高崎を食べるくらいはできるよ」
 さらりと自分の都合だけを告げてにっこりと笑顔を振りまく宇都宮に、高崎は二の句が継げなかった。この男にモラルというものはないのだろうか、いやわかっていてあえて無視しているのだろう。喩えて言うならそつのない優等生が陰で煙草を吸っている、そんなイメージだ。
 背後から人声が次第に大きく聞こえてくる。ホームに人が降りてきたのだと悟った高崎はいよいよ追い詰められて、頭がぐるぐると渦を巻いた。こんなホームで抱き合う姿を公衆の面前で曝すのと、勤務中にこっそりと身体を温める行為のどちらがより罪が重いのか、しかしそれを熟考している余裕はない。
 宇都宮から解放されるためには、もう彼の言い分をのむしかなかった。
 高崎はやぶれかぶれで首を縦に振った。
「わかった、付き合うから!だから離せ!」
「はい、高崎テイクアウト決定」
 自棄気味に高崎が言い放つと、満足げに宇都宮が微笑み両手が緩んだ。代わりに高崎の手を取ると冷たい指を温かい指に絡め、ちょうど滑り込んできた自分の路線と同じ色の電車に向かって手を引き歩き出す。
「……ほんっと、お前って強引…」
「そんなところも含めて、大好きでしょ?」
「誰もそんなこと言ってねぇよ馬鹿」
 激しく自惚れた勘違いを公然と言ってのける宇都宮に冷たくツッコミを返しながらも、高崎は溜息を1つ吐くと、大人しく宇都宮の手に引かれて北の地へと向かう電車に乗り込むのだった。

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