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紙/端/国体劇場(青/春/鉄/道)様の二次創作ブログ。 初めていらした方はまず「このブログについて」をごらんください。
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祭開始早々、イロモノっていうのもどうなのよ自分、ていう気もしますが。
でも書きかけだったしやっぱり書きたかったので、書いちゃいました(笑)

メイド高崎と、ご主人様宇都宮の話。

出所は某呟きで、フォロワさんのお一人は本にもされてます。一応設定を借りた、形になるのかしら?
(メイド=高崎と御主人様=宇都宮、ってだけで後はマイ設定なんだけど)
お借りしました、橘さん!(笑)<事後承諾

メイドなんだけど、メイドっぽくないというか、ぶっちゃけメイド服着てないので意味ない感じです(苦笑)
エロはないけどエロがあったこと前提。

それでも良い方のみ、開いてくださいまし。

 「高崎」
 カーテンが開けられる音に混じり、柔らかくてしかし芯の通った声が聞こえる。
 窓からは眩しいくらいの朝陽が射し込み、部屋が一気に明るくなる。その明るさに夢の世界から引き戻された高崎がぼんやりと瞼を開けると、よく見知った笑顔が覗き込むようにこちらを見ていた。
「……あ…っ!宇都、宮」
 ベッドの縁に腰掛けた宇都宮が微笑みながら高崎を見下ろしていた。にこにこと一見穏やかに微笑むその笑みに、だが高崎は急速に目が覚めると慌てて文字通り飛び起きた。
 反動で掛け布団がふわりと舞い、何も身につけることなく眠っていた高崎の裸身を晒す。その膚に赤く散らされた痕跡が、昨晩ここでどんなことが繰り広げられていたのかを如実に著していた。
 無論その痕をつけた相手は、目の前にいる笑顔の男で。少なくとも、寝る前には彼もまたこのベッドで眠りについたはずだった。
 だが甘く濃密な一夜を過ごした朝にしては、高崎の態度はいささか気まずそうで、しかられる直前の子供のように肩を小さくすぼめていた。
「あ……あ、の…」
 ともすればご機嫌とも取れる笑顔の宇都宮を、高崎が様子を窺うようにおどおどと見上げる。その声に重なるようにその頭上に爽やかな嫌みが降り注がれた。
「ご主人様より遅く起きるなんて、しかもそのご主人様に起こしてもらうだなんて、随分いいご身分になったものだねぇ?高崎」
 口調だけならいたって穏やかで、爽やかに微笑む様はいたって好青年の宇都宮が笑顔で高崎に迫る。
 そう、高崎の目の前で微笑んでいる男は、高崎の『ご主人様』だった。
「君にはメイドとしての衿持はないのかな?ご主人様を起こすのは、確か君の仕事じゃなかったのかな」
 くい、と高崎の顎を持ち上げ、笑顔で言い捨てる宇都宮に高崎はう、と言葉を詰まらせた。メイドの職分として必ずしも請け負う仕事ではないが、確かに高崎は宇都宮からその役割をいいつかっていた。この館で働くメイドのうち、高崎だけが受け持っている仕事。もっともその仕事を全うできたことはほとんどないのだが。 
「減点1」
 笑顔とは裏腹に容赦なく減点措置を取る宇都宮に、高崎は朝から悲壮な顔で首を横に振った。
「で、でも…これは…っ」
 高崎は朝が弱い。これまでも起きれなくて寝坊、という事態がないとは言えないので、宇都宮のいうように「メイドとしての自覚が足りない」と言われても反論はできない。
 勿論、宇都宮は高崎の寝起きが悪いことを承知の上で、高崎に目覚ましの任を与えているのだが。そうして高崎が仕事を遂行できず、減点されていくのを楽しんでいるのだ。
 だがそれを差し引いても、今朝については宇都宮の処遇は鬼、と言わざるを得ない。高崎が今の今まで寝ていたここは宇都宮の部屋で、当然高崎の目覚まし時計なんて手元にはない。その上明け方まで散々組み敷かれ啼かされて、もう体力も限界なところでようやく寝かせてもらえたのだ。今の今まで熟睡していて、目が覚めなくても当然といえた。
 しかし反論しようと開きかけた高崎の唇は、問答無用と宇都宮の唇に塞がれて言葉を封じこめられた。舌を絡め取られ、何も身につけていない状態で胸をまさぐられては、可愛い声だけが代わりに上がる。
 明け方までの余韻がまだ燻っていて、すぐにとろんと瞳を潤ませる高崎の頬を宇都宮は目を細め優しく撫でた。
 行動とは正反対の厳しい言葉とともに。 
「言い訳をしない、ご主人様に口ごたえしない。減点2」
「うえぇ…っ」
 甘い雰囲気も束の間、降り注ぐ冷徹な措置に瞬間的に高崎は青ざめてガックリとうなだれた。
「わかってると思うけど、減点5でお仕置きだからね高崎。今晩もここに来たくなかったら、せいぜい頑張りなよ。―――もっとも、もう今の時点で減点3だけどね」
 くすくすと意地悪い笑みが宇都宮の顔に広がる。その顔はまだ「お仕置き」になるとは決まってないのに、もう今晩の「お仕置き」内容をどうしようか、と考えている表情だ。そして宇都宮の期待を裏切らず、十中八九高崎はまた今晩もこの部屋を訪れることになるだろう。―――お仕置きされるために。
 残念ながら高崎の性格上、宇都宮の厳しいチェックの目をくぐり抜け完璧な仕事をこなすだけの技量を持ち合わせてはいなかった。そもそもメイドとしては適性がないというべきか、本人は一生懸命仕事をこなしているつもりなのだが、必ず抜けがある。こればかりはいくら努力しても直らない。おまけにその採点をするご主人様が、高崎のミスを手ぐすね引いて待っているとなれば。
 早くも暗雲が立ちこめどんよりと落ち込んでいる高崎の顎に、宇都宮の指がかかり顔を上げさせられる。
 憔悴している高崎に宇都宮は優しい微笑を浮かべると、詐欺師のように甘く高崎を誘惑した。
「そんな顔しないの。仕方ないな、僕を起こすことは出来てないけど、キミからおはようのキスして、自分でコーヒーを入れて持ってくるなら、言い訳と口ごたえの減点はなしにしておいてあげる」
 僕も甘いなぁ、と宇都宮が高崎の頬を撫でながらその目で高崎にどうする?と問いかけてくる。
 一方的に持ちかけられた交換条件に、う、と高崎は躊躇ったものの、朝の時点で減点3なんて状態で拒否できるはずもなく。言い方を変えただけの主人の命令に、結局は従うしか高崎に選択肢は残されていなかった。
 高崎はそろそろとベッドの縁に腰掛ける宇都宮の傍に寄ると、その肩に手をおいた。
 宇都宮がじっと自分を見つめている。そんな間近で、しかも自分から口付けようとしている様を見られるのはいたたまれず、だがご主人様に「見るな」とは言えない。やむなく高崎はただとにかく宇都宮の口許だけを見るようにして、赤く火照らせた顔をそっと近づけ唇を重ねた。

 そうやって、高崎の一日は大概が減点1から始まるのであった。

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