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SSアップです。それ自体は結構前に上がってたんだけど、原稿入っちゃったのでUPする暇がなくて今頃になりました。
微妙にアダルトな、うつたか(笑)
しかしうちのカプは段々鉄分と関係がなくなっていく気がします………(汗)
本編は続きに。
微妙にアダルトな、うつたか(笑)
しかしうちのカプは段々鉄分と関係がなくなっていく気がします………(汗)
本編は続きに。
その日もいつも通り己の路線を運行していた宇都宮は、ふと違和感を覚え息を呑んだ。
と、同時に目の前が真っ赤に弾け自らの身が赤く濡れていく。同時に車両が緊急停止したのを感じた。
『宇都宮線、衝突により緊急停止。これより確認行います』
第一報の無線連絡が入る。が、この自身がべっとりと血濡れている状況からして理由はわかっていた。
人身事故だ。しかももう相手は息はないだろう。夜で先まで見通せていなかったことが災いして気づけなかった分だけ、ブレーキも間に合わなかった。
「うわ……また派手になったもんだねぇ……」
折しもちょうど隣を併走していた京浜東北が、自分だって負けず劣らず真っ赤に染まることがあるくせに、他人事のように顔を顰めていた。
宇都宮はとりあえず顔についた血だけをハンカチで拭った。事故車は大宮駅の少し手前で止まっている。しばらくは運転見合わせになるだろう。共有路線上の事故だから、高崎と埼京に連絡をしなくては。
宇都宮は溜息をつくと、携帯を取り出し二人にメールを打って、それから駅の社屋に向かった。現地に向かう前に、まずとにかくこの血を洗い落としてからでないと、駅員達を無駄に怯えさせることになる。
シャワールームを借りに建物に向かおうとする宇都宮に、後ろから京浜東北が声をかける。
「着替え、どうする?持っていってあげようか?」
「頼む。悪いね」
「ま、こういう時はお互い様だし?」
流石にすぐにでも事故対応に向かわなければならない事態で貸し借りを云々言うつもりはなく、宇都宮が素直に礼を告げると、京浜東北も茶化すことはなく軽く手を挙げ了承の意を示した。
宇都宮は顔パスで社屋のシャワールームを借りると、血液でぬるりと湿った制服を床に脱ぎ捨てた。脱いだものを眺めて見れば上着もズボンもワイシャツもべっとりと血がついていて、京浜東北が「派手になった」と表現していたのも頷けた。ちょっとしたホラー映画の登場人物と言っても過言ではない。もうこれは染みが酷すぎてクリーニングに出しても無駄だろう。
脱衣カゴには入れられないので洗面台の中に血液の染みこんだ制服を置いて、宇都宮はシャワールームに入りコックを捻った。
ざあ、と40度の温水が勢いよく雨のように降り注いでくる。
宇都宮はそれを頭から浴びた。髪にも付いていた血が水に流され、首筋で薄赤い筋を描いて流れていく。広い肩にもシャワーの湯が打ち付け肩胛骨を避けるように背中に落ちていった。
と、不意にピリッと背中に痛みが走る。
「?」
人身事故は起こしたが車体に異変はなく、どこか怪我をした覚えもない。だが確かに傷があるようで、水が染みて僅かに痛い。
怪訝に思い宇都宮はシャワールーム内に貼られた鏡に背中を向け、首を捻って映し出された自身の背中を伺い見た。
すると、そこにちらりと見えたのは肌色に赤く色ついた、小さな三日月のような痕。
その瞬間、宇都宮の脳裏に昨夜の出来事がフラッシュバックした。
そうか、これは高崎の爪痕だ―――。
熱を帯びた吐息、上気した頬、潤んだ瞳、絡みつく四肢。素の背中に痕がつくほどに縋り付かれて何をしていたかなんて、聞かずとも知れたこと。
艶やかに彩られた表情で己にしがみついていた高崎の痴態が瞼の裏に蘇り、知らず宇都宮は瞳を細めた。そういえば昨日はやけに高崎の感度が良くて、つい煽られて本気で貪りにかかったんだった。
最後の方になると考える余裕なんてなくて、感じすぎる身体を必死で堪えようとして、高崎が無我夢中に縋りついてきた。これはその証だ。
またあんな可愛い高崎を見られるといい。基本宇都宮はドSと言われているが、恋人が可愛く乱れるのを見れば誰しもと同じように愛おしいと思う。いじめなくても心が満たされることはある。いや、だからといって弄るのをやめるつもりもないのだけれど。いじめたらいじめたで、やっぱり高崎の反応は可愛い、結局可愛い高崎が見られれば、宇都宮はそれでいいのだ。
今晩も何か仕掛けてみようか、シャワーに打たれながら宇都宮が密かに物騒な策を思案していると、水音に紛れ外の扉が開く音がした。
「おい宇都宮、着替え持ってきてやったぞ」
シャワールームの曇りガラス扉を隔てたすぐ外から声が届く。だが、その報告はそれを頼んだ人物とは異なる者の声だった。ウワサはしていないが呼び寄せてしまったのか、声の主は高崎だった。
京浜東北がわざわざ高崎に伝言して持ってこさせたのだろうか、確かに自分の部屋の鍵は高崎も持っているから、着替えも準備しやすいけれど。
「ありがとう。そこに置いといて」
「おう。うわぁ、何だコレ!すげぇな」
宇都宮の指示に従い洗面台に目をやったところで、中の血塗れた制服を見つけたのだろう、高崎の感嘆だか悲鳴だかが上がる。
「これ、もう落ちねぇな多分…。なあおい、お前こんだけ派手にやってて、おまえ自身は大丈夫だったのか?」
「あは、心配してくれるの?僕ってば愛されてるなぁ」
「ば、ばっか、ちげーよ!お前が負傷したら俺んとこにも影響が…って、俺はそれを心配して」
「素直じゃないんだから。おかげさまで今のところ無傷………ッツ……!」
「宇都宮ッ!?」
宇都宮の軽口が途中で途切れ息を詰めるのに、高崎は顔色を変え擦りガラスに詰め寄った。ぼやけたガラスの向こうで、辛うじて宇都宮が壁にもたれ掛かっているのが判別できる。
「おい、宇都宮っ?どっか怪我してんのか?なあおい!」
「背…中……」
「背中?背中打ったのか?」
高崎は何度も宇都宮に呼びかけるが、だがそれきり彼の返事もなく、扉の向こうの人影も動かない。焦れったくなって高崎は目の前のドアノブに手をかけた。
「おい、開けるぞ!」
言うなり高崎はガラス扉を手前に引いた。途端に湯気があふれ水しぶきがはねてくる。その向こうで、くるりとこちらを振り返った宇都宮が、くすくすと笑みを零した。
「やだなぁ、高崎のエッチ☆シャワー中を覗くなんて、僕の裸がそんなに見たいの?」
「なっ…誰がだ!お前が今、背中が痛いって動かなくなるから…!」
「背中が痛いのはホントだよ。ほら見て」
宇都宮の冗談に高崎が真っ赤になって憤慨する。宇都宮はくるりと再び反転すると、高崎に見せるように背を向けた。
広い背中に、赤く細く並ぶ三日月痕。
「それ、お湯が流れる度に痛いんだよね。もちろんタオルで擦って洗うのもダメだし。ねえ高崎、これ、何の傷だと思う?」
「………?さっきの事故で、じゃないよな……?」
打ち身ならともかく衝突事故でこんな細い傷はできにくい。思い当たる節がなく首を傾げる高崎に、宇都宮は薄く微笑むとその手を取って引き寄せた。
「ヒントはこれ」
そのまま手を背中に回させ、オレンジの制服が濡れるのも構わず、高崎を抱き寄せる。
「ちょ…何、濡れるだろ!」
「いいから」
「良くねぇ!」
だが最初はもがくも宇都宮の腕に収まると高崎はごく自然にその背に手を回す。
宇都宮の濡れた肩胛骨あたりに手が触れて、高崎はようやくその傷の正体に思い至った。
「え、あ……あ!こ、これってまさか昨日……!」
「そ、君がぎゅーってしがみついてきた時の。何度もイイ、イく、って喘いで泣き叫んで、可愛かったよね」
「い、言うなよ馬鹿ッ!」
にやにやと至近距離で囁く宇都宮に、高崎はバシバシとその背中を叩いた。
宇都宮の背についたものが、己がつけたひっかき傷だと悟ると同時に、昨夜の情事が嫌が応でもフラッシュバックしてきて高崎の顔がユデダコになる。
ことに昨晩は信じられないくらいに宇都宮を感じて乱れていたことを自分でも承知しているので、できれば思い出したくなかった。
こんな風に抱き留められているとまるでその時の感情と熱が身体に甦ってきそうで、高崎は肌を震わせた。
「あー、離せもう…っ」
「やだ。ね、またあの時みたいな可愛い高崎見せてよ」
高崎が宇都宮の腕から逃げようとする一方、宇都宮は巧みにその脱出を封じながら耳元、そして首筋へと唇を添わせていった。柔らかな耳朶を甘噛みすると、高崎が小さな悲鳴を上げて肩を縮こまらせた。
「ん、よせ………ってば」
まだ昼日中の、しかも誰が来るかも知れない社屋のシャワールームで。高崎の脳は抑制をかけるが、しかし身体は確実に宇都宮の手中に堕ちつつあった。宇都宮を制止する声には甘い響きが混じり、じわじわと芯を蕩かすような疼きが肢体を駆け抜けていく。
「もう君も濡れてびしょびしょじゃない、こうなったら一緒に浴びていくといいよ」
「お前が…引きずりこんだんだろ…」
制服どうしてくれんだよ、と恨み言を呟いたら「後で今度は僕が着替え持ってきてあげるよ」と笑顔で約束された。そうしていそいそと高崎の制服を脱がしにかかる宇都宮に、高崎は小さくため息をつくと水を吸って重くなった衣類を脱ぎ落とした。
「クリーニング代、お前が持てよ…?」
宇都宮と違い金欠病でなかなか制服をクリーニングにも出せない高崎だ。こんな時くらいせめてたかっておくべきだ、とここぞとばかりに宇都宮に催促すると、宇都宮は笑って了承し、承諾の証として腰が砕けそうなほどのキスを高崎と交わすのであった。
と、同時に目の前が真っ赤に弾け自らの身が赤く濡れていく。同時に車両が緊急停止したのを感じた。
『宇都宮線、衝突により緊急停止。これより確認行います』
第一報の無線連絡が入る。が、この自身がべっとりと血濡れている状況からして理由はわかっていた。
人身事故だ。しかももう相手は息はないだろう。夜で先まで見通せていなかったことが災いして気づけなかった分だけ、ブレーキも間に合わなかった。
「うわ……また派手になったもんだねぇ……」
折しもちょうど隣を併走していた京浜東北が、自分だって負けず劣らず真っ赤に染まることがあるくせに、他人事のように顔を顰めていた。
宇都宮はとりあえず顔についた血だけをハンカチで拭った。事故車は大宮駅の少し手前で止まっている。しばらくは運転見合わせになるだろう。共有路線上の事故だから、高崎と埼京に連絡をしなくては。
宇都宮は溜息をつくと、携帯を取り出し二人にメールを打って、それから駅の社屋に向かった。現地に向かう前に、まずとにかくこの血を洗い落としてからでないと、駅員達を無駄に怯えさせることになる。
シャワールームを借りに建物に向かおうとする宇都宮に、後ろから京浜東北が声をかける。
「着替え、どうする?持っていってあげようか?」
「頼む。悪いね」
「ま、こういう時はお互い様だし?」
流石にすぐにでも事故対応に向かわなければならない事態で貸し借りを云々言うつもりはなく、宇都宮が素直に礼を告げると、京浜東北も茶化すことはなく軽く手を挙げ了承の意を示した。
宇都宮は顔パスで社屋のシャワールームを借りると、血液でぬるりと湿った制服を床に脱ぎ捨てた。脱いだものを眺めて見れば上着もズボンもワイシャツもべっとりと血がついていて、京浜東北が「派手になった」と表現していたのも頷けた。ちょっとしたホラー映画の登場人物と言っても過言ではない。もうこれは染みが酷すぎてクリーニングに出しても無駄だろう。
脱衣カゴには入れられないので洗面台の中に血液の染みこんだ制服を置いて、宇都宮はシャワールームに入りコックを捻った。
ざあ、と40度の温水が勢いよく雨のように降り注いでくる。
宇都宮はそれを頭から浴びた。髪にも付いていた血が水に流され、首筋で薄赤い筋を描いて流れていく。広い肩にもシャワーの湯が打ち付け肩胛骨を避けるように背中に落ちていった。
と、不意にピリッと背中に痛みが走る。
「?」
人身事故は起こしたが車体に異変はなく、どこか怪我をした覚えもない。だが確かに傷があるようで、水が染みて僅かに痛い。
怪訝に思い宇都宮はシャワールーム内に貼られた鏡に背中を向け、首を捻って映し出された自身の背中を伺い見た。
すると、そこにちらりと見えたのは肌色に赤く色ついた、小さな三日月のような痕。
その瞬間、宇都宮の脳裏に昨夜の出来事がフラッシュバックした。
そうか、これは高崎の爪痕だ―――。
熱を帯びた吐息、上気した頬、潤んだ瞳、絡みつく四肢。素の背中に痕がつくほどに縋り付かれて何をしていたかなんて、聞かずとも知れたこと。
艶やかに彩られた表情で己にしがみついていた高崎の痴態が瞼の裏に蘇り、知らず宇都宮は瞳を細めた。そういえば昨日はやけに高崎の感度が良くて、つい煽られて本気で貪りにかかったんだった。
最後の方になると考える余裕なんてなくて、感じすぎる身体を必死で堪えようとして、高崎が無我夢中に縋りついてきた。これはその証だ。
またあんな可愛い高崎を見られるといい。基本宇都宮はドSと言われているが、恋人が可愛く乱れるのを見れば誰しもと同じように愛おしいと思う。いじめなくても心が満たされることはある。いや、だからといって弄るのをやめるつもりもないのだけれど。いじめたらいじめたで、やっぱり高崎の反応は可愛い、結局可愛い高崎が見られれば、宇都宮はそれでいいのだ。
今晩も何か仕掛けてみようか、シャワーに打たれながら宇都宮が密かに物騒な策を思案していると、水音に紛れ外の扉が開く音がした。
「おい宇都宮、着替え持ってきてやったぞ」
シャワールームの曇りガラス扉を隔てたすぐ外から声が届く。だが、その報告はそれを頼んだ人物とは異なる者の声だった。ウワサはしていないが呼び寄せてしまったのか、声の主は高崎だった。
京浜東北がわざわざ高崎に伝言して持ってこさせたのだろうか、確かに自分の部屋の鍵は高崎も持っているから、着替えも準備しやすいけれど。
「ありがとう。そこに置いといて」
「おう。うわぁ、何だコレ!すげぇな」
宇都宮の指示に従い洗面台に目をやったところで、中の血塗れた制服を見つけたのだろう、高崎の感嘆だか悲鳴だかが上がる。
「これ、もう落ちねぇな多分…。なあおい、お前こんだけ派手にやってて、おまえ自身は大丈夫だったのか?」
「あは、心配してくれるの?僕ってば愛されてるなぁ」
「ば、ばっか、ちげーよ!お前が負傷したら俺んとこにも影響が…って、俺はそれを心配して」
「素直じゃないんだから。おかげさまで今のところ無傷………ッツ……!」
「宇都宮ッ!?」
宇都宮の軽口が途中で途切れ息を詰めるのに、高崎は顔色を変え擦りガラスに詰め寄った。ぼやけたガラスの向こうで、辛うじて宇都宮が壁にもたれ掛かっているのが判別できる。
「おい、宇都宮っ?どっか怪我してんのか?なあおい!」
「背…中……」
「背中?背中打ったのか?」
高崎は何度も宇都宮に呼びかけるが、だがそれきり彼の返事もなく、扉の向こうの人影も動かない。焦れったくなって高崎は目の前のドアノブに手をかけた。
「おい、開けるぞ!」
言うなり高崎はガラス扉を手前に引いた。途端に湯気があふれ水しぶきがはねてくる。その向こうで、くるりとこちらを振り返った宇都宮が、くすくすと笑みを零した。
「やだなぁ、高崎のエッチ☆シャワー中を覗くなんて、僕の裸がそんなに見たいの?」
「なっ…誰がだ!お前が今、背中が痛いって動かなくなるから…!」
「背中が痛いのはホントだよ。ほら見て」
宇都宮の冗談に高崎が真っ赤になって憤慨する。宇都宮はくるりと再び反転すると、高崎に見せるように背を向けた。
広い背中に、赤く細く並ぶ三日月痕。
「それ、お湯が流れる度に痛いんだよね。もちろんタオルで擦って洗うのもダメだし。ねえ高崎、これ、何の傷だと思う?」
「………?さっきの事故で、じゃないよな……?」
打ち身ならともかく衝突事故でこんな細い傷はできにくい。思い当たる節がなく首を傾げる高崎に、宇都宮は薄く微笑むとその手を取って引き寄せた。
「ヒントはこれ」
そのまま手を背中に回させ、オレンジの制服が濡れるのも構わず、高崎を抱き寄せる。
「ちょ…何、濡れるだろ!」
「いいから」
「良くねぇ!」
だが最初はもがくも宇都宮の腕に収まると高崎はごく自然にその背に手を回す。
宇都宮の濡れた肩胛骨あたりに手が触れて、高崎はようやくその傷の正体に思い至った。
「え、あ……あ!こ、これってまさか昨日……!」
「そ、君がぎゅーってしがみついてきた時の。何度もイイ、イく、って喘いで泣き叫んで、可愛かったよね」
「い、言うなよ馬鹿ッ!」
にやにやと至近距離で囁く宇都宮に、高崎はバシバシとその背中を叩いた。
宇都宮の背についたものが、己がつけたひっかき傷だと悟ると同時に、昨夜の情事が嫌が応でもフラッシュバックしてきて高崎の顔がユデダコになる。
ことに昨晩は信じられないくらいに宇都宮を感じて乱れていたことを自分でも承知しているので、できれば思い出したくなかった。
こんな風に抱き留められているとまるでその時の感情と熱が身体に甦ってきそうで、高崎は肌を震わせた。
「あー、離せもう…っ」
「やだ。ね、またあの時みたいな可愛い高崎見せてよ」
高崎が宇都宮の腕から逃げようとする一方、宇都宮は巧みにその脱出を封じながら耳元、そして首筋へと唇を添わせていった。柔らかな耳朶を甘噛みすると、高崎が小さな悲鳴を上げて肩を縮こまらせた。
「ん、よせ………ってば」
まだ昼日中の、しかも誰が来るかも知れない社屋のシャワールームで。高崎の脳は抑制をかけるが、しかし身体は確実に宇都宮の手中に堕ちつつあった。宇都宮を制止する声には甘い響きが混じり、じわじわと芯を蕩かすような疼きが肢体を駆け抜けていく。
「もう君も濡れてびしょびしょじゃない、こうなったら一緒に浴びていくといいよ」
「お前が…引きずりこんだんだろ…」
制服どうしてくれんだよ、と恨み言を呟いたら「後で今度は僕が着替え持ってきてあげるよ」と笑顔で約束された。そうしていそいそと高崎の制服を脱がしにかかる宇都宮に、高崎は小さくため息をつくと水を吸って重くなった衣類を脱ぎ落とした。
「クリーニング代、お前が持てよ…?」
宇都宮と違い金欠病でなかなか制服をクリーニングにも出せない高崎だ。こんな時くらいせめてたかっておくべきだ、とここぞとばかりに宇都宮に催促すると、宇都宮は笑って了承し、承諾の証として腰が砕けそうなほどのキスを高崎と交わすのであった。
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