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紙/端/国体劇場(青/春/鉄/道)様の二次創作ブログ。 初めていらした方はまず「このブログについて」をごらんください。
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今日は友人の送別会でした(爆)や、送別っていっても関東から東北に行くくらいなんだけど。
戻ってくる時は東北上官ユーザーだ、時間あるなら本線(宇都宮線)使って帰ってこい!(爆)
久しぶり(何年?)ぶりに会った友人もいたんだが、ついうっかり鉄にハマッたといったら思いっきり御本家様を言い当てられました(笑)すでに数年前から知ってたんだと、目ざといなヤツは。
ま、そんなわけで飯喰ってカラオケして声枯らしてきました(爆)。
そういや山手乗ったらまたチョコレート線に当たりました、これで4回目?そんなに山手乗ってない割に高確率で遭遇してるな、あれ。

あ、そうそう20日入金分の通販は今日発送しました、予告してたのに遅くなって申し訳ありません。

さて、とりあえず宣告していたSSをUPしようと思います。うつたかです。
久しぶりに一人称で書きましたよ、すっかり感覚を忘れてて所々うっかり三人称で書いたりしてた(苦笑)
なんで一人称にしたんだか、非常に珍しいです。何年かに1回くらいしか書かない(笑)。
……多分うつを甘やかしたかったんだろう、私が(爆)
そんな気分だったんだよ、うん。

 くあぁ、と大きなあくびをして俺は事務室への廊下を歩いていた。
 今日も無事運行終了、つつがなく終電を送り届けた。遅延はあったけど大した遅れも出ず、まあいつものことと言えばいつものこととして処理されている。些細でもトラブルがあったのに無事、というのも何だが、平穏なほぼ変わりのない日常だ。
 の、割には今日の俺はいつにも増して疲労がピークにきていた。事務室に戻る足が重い、肩ががっちりと固まっている気がする。さっきから無意識に首をぐるぐる回している。
 一言でいうなら、くたびれた。
 と、いうのも午後くらいからほぼ2つの路線を併走して運行を見ていたからだ。
 確かに今日は何事もなく1日を終えたが、平常運行だったのは高崎線に限ってのこと。
 俺の隣、宇都宮線ではトラブルが発生していた。
 いや正確にいうと宇都宮線が、じゃない。宇都宮が、だ。
 東北本線としての顔も併せ持つ宇都宮は、午後に本線で発生したトラブルの処理に急遽、仙台まで走ることになった。関東ではあくまで北へ向かう路線の1つとしてのポジションにいる宇都宮だが、東北エリアでは彼がリーダーだ。だから向こうで起きた事柄はどうしたって最終的に宇都宮に回ってくるし、ましてや今回は本線で起きたトラブルだから自分で始末をつけにいかなければならない。
 そんなわけで、宇都宮が東北に行っている間、俺が宇都宮線の面倒を見ることになって、結果普段の倍以上の働きをする羽目になったわけだった。
 宇都宮はまだこっちに戻ってきてない。午後に大宮で落ち合った時に簡単な説明と「宇都宮線を頼んだ」と担当を任された以来、音沙汰はない。多分後処理に忙しいんだろう。今晩中に戻ってこれるのかもわからない。明日も向こうにいるなら、宇都宮線はまた俺が面倒見ることになるんだろうな。
 あっちでは「東北本線」は相当頼りにされてるらしい。何でもかんでも宇都宮にお鉢が回ってくるみたいで、こっちにいる時でもあいつの携帯にちょくちょく電話がかかってきてるのを俺は知ってる。頼りにされるってのはいいことなのかもしれないけど、あいつ一体どんだけ負担を抱え込んでるんだろう、と思う。
 俺なんて自分の線だけだって手一杯で、2つの線を任された日には目が回るくらい忙しいっていうのに。
 今の時期、関東と東北は気温がかなり違う。特に今日はこっちは割とあったかかったから、薄着のままあっちに飛んで行って風邪なんて拾ってこないといいけど。疲れてる時はいつもなら何でもないことでも体調を崩すから、気を付けてないといけない。特にあいつは、そういう弱ってるところほど他人に見せないから。
 そんなことをぼんやりと思いながらあくびを噛み殺しつつ、廊下を進んで事務室に辿り着く。
 俺の終電は遅い方だ、もう誰もいないと思ってドアを開けた途端、馴染んだオレンジの制服が目に飛び込んできたのに俺は思わず立ち止まった。
「あ…」
 てっきりまだ東北にいるんだろうと思っていた、見慣れた色と見慣れた顔がすでに部屋にいた。
 部屋の中は静かだった。宇都宮はソファにどっかりと座り込み、俺がドアを開けても身動き1つしていない。まるで等身大の人形がおいてあるみたいだった。よく見るとやや俯き加減のその顔は瞼が下りていて、眠っているのだとわかる。
 俺は音を立てないようにそっとドアを閉め、ソファに近づいた。
 俺が近づいても宇都宮はビクともしない。いつもだったら眠りの浅いこいつはちょっとした気配でも目を覚ますのに、よほど深い眠りについてるようだった。
 隣に腰を下ろし顔を覗き込むと、宇都宮はたった半日ほどなのに死人のように色あせた、ものすごく疲れきった顔をしていた。
 疲れてるなら寝かせてやりたい、と思うけどここは事務室だ。寝るならちゃんと寝た方がいい、その方が疲れも取れる。
「宇都宮」
 そう思って俺がそっと宇都宮の肩を掴み揺さぶると、小さな瞬きの末に宇都宮の黒い瞳がゆっくりと開き、俺の方に向いた。
「……高崎…?」
 その眼はまだぼんやりとして、俺が目の前にいることの現状に理解が及んでいないようだった。なんとも珍しい、起き抜けで寝ぼけ眼の宇都宮。いつも(断じて毎日ではない、と注釈しておく)一緒に寝てる俺ですらそうそう見られるものじゃない、貴重な姿だ。
「……ああ、そうか…」
 だがそれも一瞬のことで、すぐに状況を把握すると宇都宮は盛大に深い溜息を吐いた。
「……高崎の顔見たら一気に疲れが出た…」
「なんだよそれ、失礼な」
 覚醒一番で飛び出た悪態に憤慨しかけたものの、俺はその怒りを引っ込めた。今のは意図的な悪口じゃなく、おそらく本音。
 「俺の元に帰ってきた」からこその、安心感から生じた言葉なんだろうと気づいたからだ。言い方が悪いのは照れ隠し、いや性分か。それくらいは付き合いが長い分流石にわかる。
 こいつは俺以外の奴に疲れた顔は見せない。見られるのは、見せられるのは俺だけ。
 俺はぐったりと項垂れる宇都宮の頭を軽く撫で、子どもを諭すように声をかけた。
「ほら、寝るなら部屋戻ってからにしろよ、ここじゃ休めないし風邪引くだろ?」
「なーに、ボクの事心配してくれるんだ?愛されてるなぁボク」
 すると、宇都宮は俺の首に両腕を回してきて、にっこりと笑みを浮かべた。
「冗談言ってねぇで、部屋帰るぞ」
「んー、じゃあ高崎が連れてってよ。それで一緒に添い寝して?」
 ね、と宇都宮は可愛らしげなシナを作ったかと思うと、俺の方に体重を傾け覆い被さってきた。咄嗟に支えきれなかった俺は宇都宮ごと、ソファに倒れ込んだ。
「ちょ、こら、重い」
 全体重を俺に預けてくる宇都宮を何とか起きあがらせようとしたが、宇都宮は俺の身体を抱き枕みたいにして抱きついて離さない。どうやら宇都宮は完全に目が覚めていたわけではなく、まだ寝惚けているようだった。人を困らせてるのは変わらないが、言動が妙に甘えている、いつものこいつならまずこんな子どもみたいな真似はしない。
 宇都宮は俺の胸を枕にして、放っておくとこのまま寝られてしまいそうで、俺は宇都宮の身体を揺さぶった。
「起きろってば。わかった、一緒に寝てやるからせめて部屋まで戻ろうぜ、な?」
「キスして」
「は?」
 寝惚け男がまた新しいことを言い出した。きょとんとした俺に、宇都宮は顔を突き出して強請るような瞳を真っ直ぐ向けてくる。
「キスだよ、キス。キスしてくれたら、起きる」
「バ…カ何言ってんだよ、ここどこだと」
「じゃあ寝る」
「わ、バカ寝るなっ!お前担いでなんて帰れねえだろ…っ」
「だったら早くキスしてよ」
 ん、と宇都宮が顎を傾け唇を前に迫ってくる。なんでこんな一方的な条件を呑まなきゃなんないんだ、と思いつつも、言うとおりにしてやらないとこの状況は進展しそうにもない。
 寝惚けてようが酔っぱらってようが、いつだって要求が通るまで引かないんだ、この男は。
 やむなく、溜息を1つ吐くと俺は目を閉じ、とすぐ傍にまで来ていた宇都宮の唇にちょん、と唇を寄せた。
 それはホントに僅かに触れただけの、軽いキスで。
 それでは不満だったのか、唇が離れると速攻で宇都宮はやり直しを求めてきた。
「だめ、もっと長く。ちゃんとキスして」
「ちゃんと、って何だよ…」
「ボクがいつも、してあげてるようなヤツ」
 宇都宮の注文に、俺は一気に血液が体中を巡って顔に集まり、頬が熱くなった。普段こいつがしてくるのといったら、腰が砕けそうなくらいに濃密な…。いやマズイ、そんなのここでしていいものじゃない。想像するだけでも顔の熱が上がる。
「なぁ、帰ったらしてやるから、それでいいだろ?」
 本当は俺からそんなことするのだって、線路に飛び込みたくなるくらい恥ずかしいんだけど、せめてもと譲歩を試みる。が、宇都宮は俺をがっちりと拘束したまま「やだ」ときっぱり拒否した。
「今、して。帰ってベッドに上がったらボク身体が保たないよ、だから今して」
「……素直に帰って寝ろよ…こうしてる時間も無駄だろうに」
 思わずぼやいて駄々をこねる宇都宮を見上げたが、宇都宮に解放してくれる意志は毛頭ないようだった。笑顔で催促されて、俺は2度目の溜息を吐いた。
 諦めてもう一度宇都宮の唇に口付ける。少し長めにキスしてやって、それで妥協してもらおう。触れた唇で宇都宮の唇を啄み、舌先を少しだけ差し込んだ。
 と、そこでそれまで俺の好きにさせていた宇都宮が俄然動きだし、舌を引きずり込まれた。
 まるで獲物が罠にかかるのを待っていたかのように。
 逃げようにも上から乗りかかられていては逃げられない。息が継げないくらいに激しく貪られて、俺はただ宇都宮に縋りついて受け入れるしかできなかった。
 憎たらしいことに、こいつはまたキスがものすごく上手いんだ。いつだって、こいつが本気で仕掛けてきたら俺は抗うことなんてできなくて、なすがままにされてしまう。自分でも情けないと思うけど、あまりに気持ちが良くて思考回路が働かなくなってしまうんだ。
 今も頭の中じゃヤバい、とわかってるけど宇都宮をはねつけるだけの気概は持てなくて、結局流されてしまっていた。
 これ以上、深くキスされたら、その気になってしまいそうで。何がヤバいって、俺もだけど、宇都宮がそうなってしまったら、もう止めることができなくなる。
 俺はなけなしの理性をフル動員して、何とか宇都宮を押し返そうと腕に力を込めた。
 と、その時。
 まるでスイッチが切れたかのように、突然宇都宮から力が抜けくったりと俺の上にもたれかかってきた。
「う、つ…?」
「ごめ……ん、も…無理…」
 ことりと肩に宇都宮の頭が落ち、戸惑った俺が見遣ると宇都宮はすでに寝息を立て眠っていた。よほど限界に来ていたのか、キスの途中で寝るなんて普段のこいつならあり得ない。
「つか、ここで寝るなって言ってんのに…」
 さっきからそのためにキスしたり色々譲歩してやってんのに、結局ヒトの言うことなんて聞いちゃいない。
 だけど、俺に抱きつくように眠る宇都宮の表情があまりに無邪気で、幸せそうで。
「……10分だけだかんな」
 俺は小さく息を吐くと、お疲れの宇都宮のためにほんの少しだけ身体を抱き枕代わりに貸してやることにしたのだった。

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