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つか、最後に書き始めたのが最初に上がるってどういうこと。
今回はシリアスからはほど遠いですがまた京浜東北が犠牲になってます。哀れだ。
どうも巻き込まれ役は彼が良いらしい。
多分巻き込んでも安心なヒトだからだと思う(爆)。ごめん京浜東北。
だって埼京あたり巻き込むとかなり可哀想なことになると思うんだもん…(そして結局京浜東北がフォローに入るハメになる)
キスも何もないですが、微妙に内容がヤバげでR12、くらいな?
一応エロが前提にある話なのでお気を付けくださいませ。
キミをめちゃめちゃに抱いて、その身体のいたるところに所有印を散らして、我を忘れるくらいに啼かせて自分から腰を揺らしてねだるほど快楽に夢中にさせたい。
「…って、言ったらものすごい怒ってねー」
と、にこにこと上機嫌で微笑みながら宇都宮が説明するのに、京浜東北はげんなりとした顔でうなだれた。
まったく、下らない。だからコイツらのケンカに首を突っ込むのは嫌だったんだ。
今朝から高崎と宇都宮がケンカして口もきかない、と埼京が騒ぐので、仕方なく昼休みに宇都宮を捕まえて探りたくもない事情を聞き出したのだが。
痴話喧嘩にすらならない阿呆くさい理由を語られるのに、京浜東北はぐったりと脱力感に襲われるのだった。
ああ、そう…と気の抜けた返事を宇都宮に返しながら、京浜東北はまるで一大事みたいに騒いだ埼京を恨んだ。
まったく気になるなら自分で聞けっていうんだ、まとめ役だからって何でもかんでも僕に押しつけるんじゃない。
もう二度とこの二人の仲裁はしない、と京浜東北は心に誓う。
もうこれで京浜東北の用件は済んだようなものなのだが、こちらから聞いてしまった建前上ここで話を切り上げるわけにもいかない。やむなく京浜東北は宇都宮に話を合わせた。
「高崎は怒るに決まってるわな、そりゃ」
「もー真っ赤になって目に涙溜めて、それはそれは可愛かったよ♪『お前なんて大っ嫌いだっ』って、怒鳴られちゃった☆ベッドの中で」
「……ああそう……」
ベッドの中で、ね。
これはもはや痴話喧嘩にすらなっていない。完全に宇都宮が高崎を弄って楽しんでいる、いつものパターンだ。あげく1%(99%は責任感と義務感だ)でも心配してみれば、惚気話まで聞かされる。
ごちそうさま、と両手を上げ降参の意を示して、京浜東北はそこで話を切った。これ以上話を続ける気にはならない。ましてやフォローに入るつもりなど、さらさらなかった。
後は好きにやってくれ、ただし二人だけの時に。
「まあ仲違いっていうんじゃないなら、それでいいんだ。時間取らせて悪かったね」
「どういたしまして。リーダーっていうのも大変だね、メンバー全員の様子を気にかけなきゃいけなくて」
珍しく宇都宮から労いの言葉がかけられる。そう思うなら人目のあるところで(特に埼京の目につくとところで)騒ぎになるようなことは起こさないでくれ、と京浜東北は心の中でぼやかずにはいられないのだった。
と、そこにガチャリと部屋のドアが開き、もう一人の当事者が顔を現わした。
「あ」
なんともまあ、間の悪い男だ。
京浜東北が内心溜息をつく横で、高崎は宇都宮とばっちり視線を合わせ、みるみるウチに顔を真っ赤に染め上げていく。
「っ……」
「や、お疲れ高崎♪」
「………おう…」
にこにことご機嫌な様子で高崎を迎える宇都宮に、反比例するように不機嫌な表情で高崎は宇都宮を睨み付けた。その場で踵を返して出ていかなかっただけ、まだ冷静な方か。
「ウワサをすれば何とやら、だね。ちょうど今キミの話をしてたところだよ」
「……何を話してたんだよ…」
高崎の視線が訝しげに眇められ、宇都宮からちらりと京浜東北に流される。こちらに矛先を向けられても困るので、京浜東北が微妙な表情で黙っていると、そこに宇都宮の声が楽しげに響いた。
「キミがベッドの中でどれだけ可愛かったか☆」
その瞬間。
ぼっ、と音がするかのように高崎が顔から首、耳までユデダコにすると、弾かれたようにその場の床を蹴り、そして。
次の瞬間には宇都宮に詰め寄り問答無用で鉄拳が振り下ろされた。
「この、……大バカッ…!」
180を超える長身の加減のない一撃は容赦なく宇都宮の頭に直撃し、くらりと宇都宮は目眩に襲われる。
流石にバランスを崩してよろける宇都宮には目もくれず、高崎はそのまま背を向けると肩を怒らせ大股で出口に向かう。
バタン、と叩き付けるように荒々しくドアを閉めると、高崎は部屋を出て行ってしまった。
まるで一陣の風、いや嵐だ。その一連の流れを傍観していた京浜東北は、頭を押さえよろよろとソファに倒れ込む宇都宮に視線を送ると、溜息と共に声をかけた。
「……大丈夫?」
「流石に一瞬で防御できなかった…不覚」
「あんな言い方したら余計怒ることくらいわかってただろうに。後でちゃんとフォローしておきなよ、アレ」
「多分しばらく口きいてくれなさそうだけどね」
「自業自得」
「冷たいなぁ、リーダーなのに」
「そんな時だけ頼ろうなんてムシがよすぎるよ」
宇都宮が子供のように拗ねてみせるのに、京浜東北はつっけんどんにあしらう。殴られたのに妙に楽しそうで、Sであると同時にMかコイツは、と京浜東北は呆れ顔で宇都宮を見遣った。
「じゃ、僕は行くから。しばらく痛むようなら医務室行きなよ」
「わかってるよ」
まだ頭を抱えソファに横たわる宇都宮でそれだけ言い残すと、京浜東北は休憩室を後にした。
「おい」
後ろ手にドアを閉め、廊下に出るとすぐ真横から声がかかる。
その声に京浜東北が振り向くと、むすっとふてくされた顔の高崎が、壁に背をもたれ京浜東北が出てくるのを待ち受けていた。
高崎は京浜東北の視線が自分に向けられるのを待ってから、徐に口を開いた。
「宇都宮が何口走ったか知らねえけど、アイツの言ってるのなんてデマカセだからな、真に受けるなよっ」
高崎は言いながらも何かを思い出しているのか、徐々に頬が赤くなっていく。どうやらそれが言いたくて京浜東北を待っていたようだった。
その態度こそが余計に真相の裏付けになるんだよ、と京浜東北は思ったが、自分まで殴られてはかなわないので口には出さずにおく。
代わりに掌をひらひらと振って小さく笑ってみせた。
「アイツが楽しそうに話す時は大抵ロクな話じゃないからね、信じるつもりはないよ」
京浜東北がきっぱりと言い切ると高崎は安心したのか、ほっと肩の力を抜いた。
「それよりいいの?思い切り殴られて、ソファに撃沈してるけど」
ひとまず高崎が落ち着いたのを見計らい京浜東北が背後のドアを指さす。高崎はその指先を目で追うと躊躇うように尻込みし、ばつが悪そうにそっぽを向いた。
「だ、ってそれはああいう事言うアイツが悪いんだし…」
そうは言っても、流石に恋人を加減抜きで殴ったのは申し訳ないと思っているのか、高崎はちらちらとドアの方に目をやっていた。
いつもそうだ。非道いことをされてるのは高崎の方ばかりなのに、どれだけ怒っても結局高崎は宇都宮を許して受け入れている。その人の良さが高崎らしさであり、そしてだからこそ宇都宮は高崎に惹きつけられたのだろう。
怒りながらも自分を受け入れてくれるヒトに。
「一発殴っただけでも気分悪くなることもあるからね、心配なら様子見てくれば?」
京浜東北が顔の向きでドアの向こうを示すと、高崎が逡巡してあちこちに目を彷徨わせる。
気まずいは気まずいだろうがとりあえず高崎に歩み寄る気持があるなら、今回の騒動はすぐにでも解決するだろう。下手に引きずってまた埼京に見咎められて騒がれても面倒だし、高崎に許す気持があるなら京浜東北はその背中を後押ししてやることにした。
…僕もたいがいおせっかいだな。
迷った末に京浜東北の勧めに従い和解することにした高崎に京浜東北はドアの前を譲ってやると、その背が部屋の中に消えるのを見届けてから午後の仕事に向かうべく、自分の持ち場に足を向けるのだった。
そしてその後、のほほんと大宮を走っていた埼京を見つけた京浜東北は。
「いいか、あの2人のもめ事は二度と僕に持ってくるな、心配するなら自分で行け」
と胸倉を押さえしっかり釘を差しておいたとか。